当クリニックについて
院長の一言
西暦の絞込み:朝のルーティーン
2023/06/05 老いるほどに朝方になると聞いてはいましたがこれほどまでに朝方人間になろうとは思ってもみませんでした。この3年間の生活の変化、夜のお付き合いが皆無となったために帰宅する時間が早くなり、寝る時間も早くなったのがどうやら影響しているようです。夜が白けてくる頃には自然に目が覚め、寝ぼけ眼でピアノに向かい30分、それからコーヒーを立て朝風呂に入り、コーヒーを飲みながらベランダで語学を30分、これを日課としてかれこれ2年半。今では欠かせないルーティーンになっています。夜明けに目覚め、日没と共に就寝するのが動物たち。これが生物の本来の姿であろうと齢をかさねるにつれ自然に近づいていく老後をこんなところでも肌で感じている今日この頃です。
COVID-19 その80 COVID-19シリーズ終了にあたり~
2023/05/09 我が国のコロナ禍から3年超、コロナ感染症がついに5類になる日が来ました。東京都の陽性患者数発表も5月8日で終了し今後は定点調査報告のみとか。まだ街にはマスク着用者が目立っていますが非着用者数も徐々に増えてきており、何より彼らへの違和感、そして差別意識も薄れてきているようです。病院も患者さんへの面会再開のマニュアルを決め、今月22日から実施されるとか。このシリーズを始めた2020年2月19日の文章で’歴史の生き証人としてこの成り行きをしっかり見据えて行きたいと思います’と書き私の想いをその都度したためてきました。今この3年間を振り返りいろいろな事が走馬灯のように思い出されますが、シリーズも終わりの時期に来たかなと感じています。このような状況に再び人類が襲われた時、本シリーズを振り返り、しっかりと対峙したいと思います。
COVID-19 その79 LINEとコロナ
2023/04/26 今朝、何気なくLINEを覗いていたら‘お知らせ’で‘国内感染者数の推移’と‘都道府県別感染状況’は本日が最終の配信となります。とありました。このコロナ禍の中、いつの頃からか、LINEに入るたびに目にしていた感染状況、ついにこのような日が来たんだと本格的に来るであろうコロナ離れの先駆けの感を持ちました。コロナ禍でのLINEは政府も重用するほど一般化し、わが国では通知ツールとしても日常生活に欠かせないものに今ではなっています。今後も新たな感染症に見舞われたとき、あるいは災害が起きた時などにも早く対応してくれるのではと期待しながらこれまでの3年間本当にごくろうさまでしたと今は感謝の気持ちで一杯です。
COVID-19 その78 あと一か月あまり
2023/04/06 ここ川崎では桜吹雪も一段落し、本格的な新緑の候となりつつあります。コロナ感染が2類から5類へ変わる5月8日まであと一か月あまり。各医療機関ではスタッフの行動規範の変更、感染時の出退勤の規則変更、濃厚接触者の定義もなくなった今、同居者が感染した際の出勤可否の規則などについて見直しが始まっています。病院でもこれまで面会謝絶をはじめとして種々制限していた事もおそらくは緩和の傾向になっていくのでしょう。各医療機関はこの一か月、いろいろな意味で頭を悩ます時期になりそうです。
COVID-19 その77 マイアミの勝利
2023/03/23 侍Japan がやってくれました。大谷そしてダルビッシュを擁し世界一を目指せる代表と前評判も高いでしたが現実は甘くなく、思わず息をのみ手に汗握るシーンが数多くありました。圧巻は準決勝のメキシコ戦、これぞ筋書きのないドラマ、事実は小説より奇なりという言葉をつい思い浮かべるような劇的な展開そして勝利でした。また決勝での投手の継投策、そして不振の続く選手を使い続け彼へのさりげない後押しの言葉等々。さすが栗山流采配と名将ぶりをいかんなく発揮させましたし、組織を預かる身としてもその様子は大いに参考になりました。それにしてもマイアミの風景と日本の風景があまりにも違い過ぎるのにも驚きました。3月13日の解禁後も街の風景は依然としてマスク着用者が大多数。はてさていつまでこの風景は続くのでしょうか。
COVID-19 その76 自己判断初日
2023/03/13 マスク着用自己判断開始日、果たして街の風景はどのように変わるのかと興味津々に思いながらの朝の通勤時間、道行く人々のマスク着用率を観察しました。非着用者はさっくり数えてわずかに1~2割。大半は着用していました。みんなで渡れば怖くないの発想なのかあるいは感染症に対して真面目に防止策を講じようとしているのか。誰かが言っていましたが前者のようなふるまいはかの十七条憲法の‘和を以て貴しと為す’から連綿と続いているのだとか。これからの数か月、街の変化を見ていくのが楽しみの一つになりました。
COVID-19 その75 医療ルネッサンス
2023/03/02 今、医療の世界に治療用アプリが導入されつつあります。コロナ禍を契機に対面による診療を希望する事が躊躇されるようになり、オンライン診療やこのようなアプリを用いた治療が次第に医療の世界に入ってきているのです。すでにニコチン依存症に対する治療用アプリが2020年に保険収載され、高血圧治療用アプリが2022年9月に収載されました。そのほかの疾患も現在治験段階にあり、早晩収載されるようです。これまでの薬剤による治療、医療機器による治療に加え第三の治療法と言われまさに医療ルネッサンスを思わせる時代になりました。ちょうどペスト病流行の後にルネッサンスが始まったとおなじようなポストコロナ時代がまさに始まろうとしています。
COVID-19 その74 マスク
2023/02/13 コロナ禍が本格的になった2020年2月から3年ぶりにマスクの着用が自己判断とする厚労省通達がありました。開始は3月13日からとか。この報道を聞いた時、2類から5類に移行する5月からと思っていたのですが突然の3月からの開始。おそらくは卒業式などの年度末の行事を意識しての通達なのでしょう。3年間当たり前に行ってきたことが突然自己判断と言われ果たして元来真面目な日本人はどう対応するのか、おそらくは様々な事態が起こることでしょう。着用者と非着用者の思いの食い違い、偏見そして差別など。着用が推奨される場合として①医療機関を受診する時②高齢者など重症化リスクの高い方が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設などへ訪問する時③通勤ラッシュ時など、混雑した電車やバスに乗車する時などが挙げられています。マスクを持参していない方が来院した際に院内着用が推奨されているものの強制はできないため我々医療者はどう対応すべきかなどこれからの一か月、いろいろな観点から準備をしていかなければならないと本日の朝礼で述べました。
COVID-19 その73 残るもの、そして残らないもの
2023/02/09 コロナ感染症が2類から5類に替わり、風景もかわるだろうということは前項で書きました。世の中ではすでに'その後'の準備が始まっています。今では当たり前になった仕切りに用いているアクリル板やビニールのカーテン、アクリル板の今後については絵画用の板としての有効利用の試みが始まっているとか。玄関口で行われている体温測定やアルコール消毒、果たしてこれらはいつまで続くのでしょう。またコロナ禍になって使われなくなったトイレのジェットタオルの修理やメンテが始まっているそうです。スーパーなどでは今やセルフレジが当たり前になっています。これは効率性もさることながら他人との接触をできるだけ避けたいという私たちの深層心理をうまく捉えたからなのでしょう。コロナ後、何が残り、そして何が残らないのか、歴史の生き証人としてしっかりと見届けたいものです。
COVID-19 その72 2類から5類へ
2023/01/28 ついにコロナ感染症が2類から5類に移行することになりました。5月8日からの移行が政府決定されたのです。3年前はそれこそ暗中模索、誰しも得体の知れない侵入者に恐れおののきそして世の中には疑心暗鬼が芽生えていましたが、その感染力や重症度などが徐々に明らかになり、防御態勢そしてワクチンなども広くいきわたるようになりました。そして3年、いたずらに恐れなくてもいいという結果が2類から5類への移行なのでしょう。まずは入院勧告などの強制隔離はなくなるでしょうし各種イベントをはじめとした行動規制が緩和されるでしょう。また欧米と同じくマスク着用義務がなくなる日もそう遠くないかもしれません。医療では入院費用、治療費やワクチンなどの公費負担も徐々になくなってくるのではと思います。そうはいってもいったん感染してしまうと重症化しやすい高齢者や有病者などへの配慮や医療施設内での規制そして医療従事者の行動規範の制限などはしばらく続けるべきとも思います。果たして5月8日からの風景がどう変わっていくのか・・・。あの明治維新の武家社会から市民社会への移行あるいは戦後軍国主義から民主主義への移行まではいかないまでも何かが起きそうなそんな不安と期待があります。
COVID-19 その71 モニター越し
2023/01/18 年が明け、穏やかな新年と思っていたら、相変わらずのコロナの流行、加えて今年の冬はインフルエンザまでもが流行し再び医療ひっ迫が叫ばれ始めています。コロナも症状の軽い方が多いだけに、これまでだったらただの風邪と見過ごされてしまうためそのトリアージも難しくなっています。当院では疑わしきはとりあえず検査というスタンスで対応していますが、普段の生活の中でも少しでも風邪症状があったら抗原キットなどでの検査を気軽に行い、陽性だったら自宅療養をしていただき、市中感染拡大防止に努めていただければと思います。これも重症化しやすい人を守る手段の一つです。自宅療養者については当院でも昨年からオンライン診療を導入し多くの方々の診療を行ってきました。自宅で一人不安の中で過ごしている方が医師との面談を通じ安心する様子がモニター越しに感じられております。
COVID19 その70 三年目の初春
2023/01/02 明けましておめでとうございます。 コロナ禍も早3年が過ぎようとしております。昨年の国民共通の話題は一年を通しコロナに関するものばかりでしたが暮れのFIFA W杯カタール大会での日本チームの活躍は久しぶりに国民共通の明るい話題となり、力をもらえました。一方カタール大会の映像で見られたノーマスクの人々の姿は日本人にとってある意味新鮮でした。欧米ではmitigationすなわち緩和策が実践されています。これは若者を始め重症化のリスクのない人々には自由に行動してもらい、一方では重症化する人々をいかに守るかを考える策です。今後日本もこの方向に進むことが予想されますが、一般の方々が享受する自由について私たち医療者が果たして同じ歩みをとることが出来るのか、重症化する人々を守るためにもうしばらくは気を引き締めて行動しなければならないと思っております。皆さまそしてスタッフの安全を第一に考え、院内での感染防止対策は引き続き継続して行きたいと思います。 今年こそは明るい年になることを願い、本年の標語は’意気軒昂’そして’stay cheerful’としました。 本年も宜しくお願いいします。
COVID-19 その69 明るい話題
2022/12/07 久しぶりに明るい国民共通の話題でした。それがFIFA2022カタール大会。もちろん日本の活躍です。ドイツを蹴散らし日本中を興奮のるつぼに包んだ直後の一戦、なんとこれまで負けなしのチームに惜敗でまさかの展開、一時は日本人の多くはため息と決勝リーグへの進出を半ばあきらめていたのではと。それもそのはず予選最終戦が対スペインなのですから。それがなんとドイツ戦の再来かと思われる展開。前半は歯を食いしばり何とかしのぎ、後半に入って間もなくの15分で立て続けに2ゴー―――ル。逆転に成功し日本中が再び歓喜に包まれました。コロナ一色の暗い話題ばかりだった一年でしたがこのドイツ、スペイン倒しにこれまでの鬱々とした気分が吹き飛んでしまいました。スポーツの力は本当に偉大です。決勝リーグ第1戦でクロアチアには惜しくもPKで敗れてしまいましたが私たちに大きな大きなプレゼントをくれたそれがFIFA2022でした。ようやく睡眠不足からも解放され日常にもどりました。来年こそは明るい話題満載の一年になってもらいたいものです。
COVID-19 その68 ゴーーーーーーーール!!!
2022/11/24 2022年11月23日は我が国にとって歴史的な日となりました。そうFIFAカタール大会にてなんと日本が強豪ドイツに勝利。それも相手を蹴散らしての2ゴール!これまでセットプレーを中心にしていたプレーが相手の一瞬の隙をつき、スピード感あふれる個人技を見せつけての見事なゴール、ドイツはペナルティーキックの一本だけ。後半だけについて言えば日本の圧倒的勝利でした。こんな日を見ることが出来るとは!1970年代奥寺が単身ドイツブンデスリーガでプレーしてからほぼ半世紀。いつの間にかこのリーグでは1部、2部合わせて8名の日本人若武者がプレーしているのだとか。日本人プレーヤーの進化そして前半の圧倒的なドイツの攻撃を抑えての逆転勝利いろいろな意味で実に感慨深くそして気持ちのいいものでした。一方では観客がノーマスクで大声を上げ応援している光景を見るにつけ日本の現状と比べては、いろいろと考えさせられました。ミティゲーション(mitigation)という言葉が日本でも耳にするようになりました。これは緩和戦略であり、行動規制することなく感染により重症化するリスクが高い人を医療で受け止め重点的に守るという考えです。すでに欧米諸国はこの考えでノーマスクに至っているようです。もちろん陽性者数が増えれば重症者数もおのずと増えます。そこをどう受け止めるのか、このような問題はやはり宗教や価値観の違いにより異なり我が国では素直に受け入れる事ができないのであろうかなどと深夜勝利に興奮する一方でいろいろと考えさせられたひとときでした。
COVID-19 その67 第8波と基本的行動
2022/11/10 今月9日厚労省は専門家組織‘アドバイザリーボード’が第8波につながる陽性者数の増加が今月になり見られていると発表しました。北海道では第七波を超える新規陽性者数であり、全国各地でも前週の1.4倍を超える数の新規陽性者数が公表されています。 近づく冬本番。そしてインフルの流行開始時期が12月半ばごろとか。私たちはこのような状況でどう立ち向かえばいいのでしょうか。ワクチンとのいたちごっこと前項では述べましたがやはりワクチンしか対応の手だてはないのでしょうか。昨年に引き続きインフルエンザの流行も懸念されています。結局は自分の判断でワクチン接種を考え、感染防止対策を十分にとり、感染してしまった際にはうつさない事を念頭に責任ある行動をとるという従来から言われている基本的な事を行う事が肝要なのでしょう。
COVID-19 その66 いたちごっこ
2022/10/28 今年夏、猛威を振るった第七波は秋になっても小康状態が続いています。主流はBA.5と言われていますが、現在ワクチンはBA.1および従来株に対応するいわゆる二価ワクチンが9月20日から順次接種が開始されています。またBA.5に対するワクチンは急遽承認され、10月から開始されるようになりました。このように現時点では2つのワクチン選択が可能となったのですが、それに関する情報がまだまだ十分とは言えず、その選択に苦慮するところとなっています。識者はどちらのワクチンも中和抗体の値は接種により十分に上昇し重症化予防や感染予防には寄与するのだからまずは打てる方を接種した方がよいと述べています。副反応についても従来型のワクチンとほぼ同等とのことですが、BA.5に対するワクチンは動物実験のみでの特例承認となった経緯もありその点も素直に受け入れられない面もあります。また接種間隔についてもこれまでの5か月~6か月間隔から3か月でよいこととなりました。ワクチンのこれまでにないスピード承認や接種間隔の短縮化は現時点で主流となっている株がいつ異種株に変異してしまうかもしれないという危惧からなのでしょうが、このようないたちごっこをいつまで続けなければならないのか不安になってしまいます。体内にいったん入ったら取り出せないものであるだけに厚労省には丁寧な説明を国民には行っていただきたいと思います。
COVID-19 その65 ナイチンゲールと病院建築
2022/10/11 最近参加した勉強会で建築家から、ナイチンゲールは看護の祖であるばかりでなく病院建築の祖であるという話を聞く機会がありました。演者曰くナイチンゲールは‘病院覚え書’なる書をしたため‘病院が備えるべき第一条件は、病院建築が患者に害を与えない事’と述べているそうです。今回のコロナ禍では各地の病院がゾーニング、換気そして隔離体制などで大いに頭を悩ませました。ナイチンゲールはクリミア戦争での兵士の死因は戦争によるよりはむしろ感染によるのが主因であり、収容されている病院の衛生環境が悪い事が原因とまだ ‘細菌’という概念がない当時からこのような考えを提唱し、環境を整えたのです。これからの病院建築もこのコロナ禍を契機に感染症流行時も平時の医療をいかに継続出来るか、そして院内感染をいかに予防出来るかの観点に立ち、さらにはITを有効活用できる新たな考えにたった病院建築がなされなければなりません。
COVID-19 その64 女王陛下とマスク
2022/09/21 女王の代名詞だったエリザベス女王がついにご逝去しました。享年96歳。幾多の試練を乗り越えながら常に国民のための生涯を貫かれたと識者の多くは語っていました。日本からもイギリスとの縁が深い天皇皇后両陛下がウエストミンスター寺院で行われた国葬に参加。その模様は我が国でもLIVEで放映されていました。その光景で驚いたのは式進行に関わる司教をはじめとしたスタッフは勿論、参列している各国の首脳、要人たちが誰一人としてマスクを着けていないことでした。天皇皇后両陛下は会場に向かうためにホテルから出た際には黒のマスクを着用しており、これは昨年4月にエリザベス女王の夫君フィリップ殿下がご逝去された際の葬儀に参列した方々が全員黒のマスクを着用していた事に習っての事と報道されていたのですが。マスク着用に関して欧州ではこれほどまでにノーマスクが一般的になっているのかと驚くと同時に我が国がガラパゴス化しているのではないかと不安に感じるシーンでもありました。
COVID-19 その63 全数把握の見直し
2022/09/06 日本のコロナ罹患数が世界一というニュースが先月から耳にすることが多くなりました。我が国では一日20万を超える陽性者数があり、さもありなんと思っていましたが、欧米では陽性者の全数把握がすでに見直されており毎日掲載されるジョンズ・ホプキンス大のデータはもはや参考値であり、増減の傾向を知る指標にすぎないとの専門家の意見があります。日本も9月2日から全数把握の見直しが政府より発せられました。この件に関しては当初全国の自治体からの要請が政府によせられていたにも関わらず2日から実施した県はわずかに宮城、茨城、鳥取そして佐賀の4県にとどまりました。なぜそのような事態が起こったのでしょうか?いろいろな意見があるものの、高リスクに対しての報告だけではその他の症状がある方に対するサポートが希薄になり、かえって医療機関をひっ迫させる事態が生じる懸念があるということが主な理由のようです。この時期一日20万人前後の陽性者数があるということはこの一か月で600万人前後、その中には無症状あるいは極軽症者は漏れている可能性もあり、もはや正確な数字把握は意味がないのかも知れません。数字よりも症状がある方に対していかに医療の提供を継続するかを考えること、そして各個人が症状が少しでもあったら自らの行動制限を課し感染拡大の予防に注力することなど本質的な対応が今は求められていると思います。
COVID-19 その62 夏祭りと涙
2022/08/18 第7波が全国を席捲した今年の夏、全国の各自治体は祭りや花火大会の開催についてさぞやその判断に苦慮し、苦渋の決断を下したところも多かったのではないかと思います。私は3年ぶりに開催されたふるさとの夏祭りにたまたま帰郷する機会がありました。駅の改札口を出た時、浴衣の若者たちを多く見かけ、街には祭りを告げる音楽が響いていました。その夜、いてもたってもいられず祭りが開催されている中心街に向かったのですが、そこは感染防止対策にはいかがかと思う光景が広がっていました。沿道には密になって踊りを見ている人々、そして踊り手たちの中にはマスクを外して踊っている人もいました。この様な光景に久しぶりに触れ最初のうちはなじめない自分がいましたが、ういつの間にか涙を浮かべている自分がいました。人と人とのふれあい、そして同じ空間を共有できる喜び、この2年半近く、忘れてしまっていた感情が一気に湧き上がっての涙だったのでしょう。この時期コロナ感染防止対策はもちろん大事ですが、経済のためだけではなく、皆で喜びを分かち合い、笑いそして楽しむという人としての基本的な思いをいつまでも忘れてはならない、そんな事を思い出させてくれた夏祭りでした。